2006年は、再びイランにてコンサートを開催する事が出来ました。アメリカがイラクを攻撃し、とても辛い気持ちであった時、ある日、イランから私達と一緒に活動するスタッフが日本にやって来ました。私の経営するカフェに来てくれたのですが、とてもやつれて、暗く、落ち込んでいました。椅子に座るなり「虚しいね」と言いました。「我々がこれだけ一生懸命、平和の為のコンサートをやっているのに、また戦争が始まってしまって…。」と項垂れていました。私も、とても悲しく、やり切れない気持ちで一杯でしたが、一緒に項垂れる事は出来ない気持ちとなり、思わず彼に言ったのです。「落ち込んでいる場合ではない。解決に向かって動かなければいけないよ。」と。「もっともっとコンサートを一杯やればいいと思う。そして、イランでもっとコンサートをやれたらいいね。」と言ったのです。彼は、顔が上がり「そうだね」と言い、やる気に満ちる表情になってきました。瞳は輝き始めました。そして、今年イランでコンサートをしようと話し合って別れたのでした。話し合った通り、11月に再び副大統領の許可を得、イランの首都テヘランにあります、サーダバ宮殿にて、いだきしん先生のコンサートを開催する事が出来る様になったのです。
イランは、イスラム教の法律ですので、音楽は禁止されています。2004年にペルセポリスで開催出来た事は、奇跡のまた奇跡です。前代未聞と言われています。あの後、色々な世界中の有名なアーティストが、ペルセポリスでのコンサートを申請したそうですが、許可は下りる事はなかったそうです。前にも後にも、いだきしん先生より許可されていないという事を聞きました。音楽が禁止されているイランで、再びコンサートを開催する事は、とても困難な事でした。が、この度はペルセポリスでコンサートを開催していましたので、とてもスムーズに実現へと導かれたのです。いよいよ本番の時が来ました。信じられない様な気持ちもありながら、心は嬉しく、わくわくし、イランへと向かいました。イランの街を歩いていると、女性達のスカーフがとても華やかになっていました。私は、初めて行った時、女性達のスカーフは、黒か茶色よりありませんでした。私も、政府の人に茶色っぽいスカーフを頂きました。ところが、この度イランに行く時に、政府の人から花柄のスカーフを頂いたのです。花柄のスカーフをしていいのかと、戸惑いましたが、政府の人が下さったのだからいいのだと受け止め、スーツケースに入れて行きました。