血圧が高くなる状態が続きながら、いよいよアルメニアへと出発する日が訪れました。血圧計を鞄に入れ、道中もしょっちゅう血圧を測りながら向かいました。測ったところでどうにもならない事を重々承知していますが、どの様な状態の時に血圧が高いのかという事を体で分かりたく測ったのでした。大体分かってきましたが、分かったところで解決がないという事も分かり、新しい生き方を練習し身に付ける事よりないと必死で新しく生きようとしたのでした。深く深呼吸をすると血圧が下がる事も段々覚えてきました。子供の頃から黒いものを吸い込むと倒れてしまうので、呼吸を止める癖がついています。深呼吸をする事で平穏な状態で生きる事を身に付けたく練習し始めました。この度もドイツ経由でアルメニアへ行きました。アルメニアの空港からホテルに向かう道中、私の写真のポスターがたくさん掲げられていました。こんなにたくさん宣伝して下さっている事に感謝の気持ちが溢れます。そして、コンサート会場はホテルの目の前の広場でありましたので、広場には私の大きな写真が掲げられていたのです。一緒に来た仲間が「大きな高麗恵子さん」と呼んでいました。広い広場に大きな私の顔が掲げられているのを見て私自身が大変驚き、戸惑いました。
アルメニアに着いて、テレビ局の出演依頼がありました。コメディアンの様な男性が二人出演している番組でした。私に日本語で詩を詠んでほしいとおっしゃいました。私が日本語で詩を詠むと、その二人の男性は涙を流したのです。言葉は通じなくても、魂に届いた事を感じ、素晴らしい感受性の方々であると感動しました。ちょうど日本からコンサートツアーにいらしていたたくさんの日本人の人達がこの番組を見ていました。皆さん感動したと口々におっしゃっていました。
イランからもいつもNPO高麗のスタッフとして一緒に活動しているイラン人とその親友のペルセポリスの舞台を作って下さった建築家が来て下さっていました。再びアルメニアでお会い出来、とても嬉しく感じます。この二人はレバノンの「高句麗伝説」にも来て下さっていました。はるばるイランから来て下さるお気持ちがとてもありがたく感じています。建築家の人は、私達がイランに行くと自宅に招いて下さいました。男性二人で手料理でおもてなしをして下さるのです。とても優しくて親切な方です。そのお宅で食事が終わった後、ぽつりぽつりとお話しするのが、イラン・イラク戦争の時の事です。兵士となり負傷した事を話されるのです。その苦しみ、悲しみが、いだきしん先生に引き受けて頂き癒される事を彼らは知っていました。先生がその様な御方である事を知っているので、お話をされ始めるのでした。その様な経験があったからか、アルメニアまでも来て下さる事に深い繋がりを感じ、とても嬉しく感じました。