ベイルートの空港からロイヤル・ヨルダンエアラインにてアンマンの空港へと飛び立ちました。生まれて初めてヨルダンの地に降り立ちました。空港のトイレに入った時、鍵が開かなくなり、冷汗が出る程緊張しました。誰でも閉じ込められる事を好む人はいないと思いますが、私は閉所が苦手です。貧血を起こしそうになりますが、この時は必死でドアを開けようとしました。外で女性達が気付いてくれ、皆でドアを叩いてくれましたが、ドアは開く事がありませんでした。ドアの向こうでジャンプ、ジャンプと聞こえ、私はドアをよじ登り、幸いにも上が空いているドアでしたので、女性達に言われ、ジャンプし、ドアの外に出たのです。見知らぬ女性達と歓声を上げ合い、喜び合いました。こんな経験はした事がありません。今まで怖かった事を乗り越えた喜びで、とても強くなれた気持ちがしました。アンマンの空港から町に出ました。英語もフランス語もスペイン語も通じない町です。アラビア語より通じず、アラビア語はちんぷんかんぷんですので、何も通じない事が面白いと感じ、笑いが込み上げてくるのでした。やっとタクシーに乗ることができました。まるで時代が戻った様な街並みでした。ラクダが歩き、のどかな時間が流れています。同じ地球上に生きているとは思えず、このような時間で生きている国があるのかと驚くばかりでした。ヨルダンの王族の王妃の指示に従い、あるホテルまで向かいました。到着したホテルも世界のどこででも見る事がないホテルでした。ラクダが歩いている街並みに合うホテルでした。ゆっくりとした時間が流れるホテルの中で、王妃のお迎えの車を待ちました。
やがて車が到着し、王妃のお宅へ向かいました。スウェーデン人であります王妃は、私達の活動に大変理解を示して下さいました。私は持参した「高句麗伝説」のCDの「五女山城」を流して頂きました。激しくダイナミックなエネルギーが溢れる曲です。王妃と友人のスウェーデン人の女性は、アラブ人が喜ぶ音楽と笑いながらおっしゃいました。ヨルダンでのコンサートにはご協力の気持ちを示して下さいました。静かで本質的なお話ができる語らいの時を過ごすことができ、とても心が安らぐひと時でした。次に、ヨルダン大使館からご紹介頂きました文化省へ向かいました。ここでも私達のコンサートは賛同を得、協力の意を示して下さいました。ヨルダンでのコンサートの可能性が見え、文化省の方がコンサート会場の候補地をご案内下さいました。街中にある野外劇場でした。既に夕暮れ時となっていました。夕暮れの風が吹く中を、楽しそうなカップルが野外劇場の椅子に座り語らっていました。なんて楽しそうなのだろうと微笑みが生まれました。ここでコンサートができればいいと私は心が浮き立ちました。