世界伝説 第97弾

ベイルートでは、ユネスコパレスで私の心模様作品展を開催致しました。「東明王」と名付けた心模様タペストリーが中心に立った時に、場はすっかり変わり、胸の内から歓喜の声が上がってくるのです。

いだきしん先生は「東明王の叡智」と墨文字で書いて下さいました。ガジ教授は「レバノンの夢」とアラビア語で書いて下さいました。ガジ教授には、いだきしん先生が書かれた「東明王の叡智」と、心模様タペストリーは「レバノンの夢」と感じたのかと感じると、とても嬉しくなりました。いだきしん先生は、心模様作品展が立ち上がった時に「ベイルートに神社が建った」とおっしゃいました。私は争いが繰り返され大変な状況にある地に神社が建って良かったと光を見たのです。神の社が建った事はレバノンの人が守られると感じ、とても嬉しくなりました。作品展に訪れるレバノンの方々は、作品を前に涙を流されていたとスタッフから聞きました。この様な事が出来る事がありがたくて、とても人生に感謝します。

ユネスコパレスでは、「大地の声」コンサートを夜に開催しました。いつもいだきしん先生の演奏は無我夢中で全身全霊でお聴きします。そして詩も無我夢中で詠ませて戴きます。コンサートの時は、音と一体と体感出来ますので、「生きる」そのものを経験します。力漲り、内面は無限な世界に通じ、何でもやれる意欲と力が溢れてくるのです。愛の経験と分かります。コンサートが終わり、司会をして下さいました俳優のネメさんが、マイクを持ち、話し始め、号泣したのです。驚きました。彼が何を喋っていたか後から聞きました。自分の母親はモスクで銃撃の弾が当たり殺された事、この事は誰にも言えずにいた事、今日の先生のピアノ演奏で悲しみが癒され、やっと言える様になったと話しながら号泣したのです。私も涙しました。レバノンに来ると、身内が殺された人にお会いする事が多かったのです。私は自分がもし目の前で親や身内が、又親しい方が殺されたらどうするだろうかと、自分は許せるだろうかと考えると、出来ない自分であると受け止めるのです。こんな自分がその方達に何にも言えなかったのです。又、争いが絶えない地で、愛と平和のコンサートを開催しますとお話しすると、多くの方々は快くは思っていないと感じる表情をなさったのです。最初にお会いした在日本レバノン大使館の書記官も「愛も何もない」と強い口調で言い放ちました。私は「愛よりない」と、書記官が机を叩いて話し始めたので、私も机を叩いて言い放ったのです。その気迫は書記官に通じ、一遍に受け容れ、協力してくれる様になったのです。又、レバノンでテレビの生放送に出演しました。女性のインタビュアーが声を荒げ、私に質問しました。「あなたは、平和という言葉が虚しいこの地で、何故に平和と言えるのか」と強く問いかけたのです。私は即座に答えました。「戦争は一刻も早く解決する事は全世界の人間のやるべき事です。が、戦争がなくなったとし、人間は幸せで生きているかと考えると、そうではないと考えます。日本は戦争はありませんが、日本人は人に気を遣い、自分の気持ちさえも言えず、我慢して生きる人が多く、幸せに生きているとは考えられません。人間一人一人が真の自分を活かし、輝き生きられる時、世界は平和になっていると考えます。」この時生まれた言葉なのです。この言葉がNPO高麗の活動主旨となり、世界中歩く時に表現させて戴いたのです。人間の内面が外的環境を作ります。内面が愛に満ちていなければとても平和な世界は創れません。いだきしん先生の演奏は一人一人の事、その地の事を全て受け容れ、生命ひとつとなり解放の表現をなさいます。内面は解放され、自由を経験します。愛に満ちる内面は未来に必要なものを生み出し、新しい世界を創造します。平和な世界を創ることは、一人一人の内面が解放され、愛に満ちる事といつも行き着く答えです。レバノンでは、お母様を殺されたネメさんが悲しみが癒されたとのお話をして下さり、私はいだきしん先生の働きの凄さを目の当たりにし、深く感動しました。ネメさんはいつも明るく、冗談ばかり言う人でした。まさか胸の奥にこれ程の悲しみをしまい込んでいたとは大変驚きました。時折感じる事を振り返ると、悲しみを押し込めていたという事が分かった今になれば、感じる事があるのです。何故あんなに冗談を言うのか、イスラエルの国境にいる兵士と冗談を言って笑い合っていたという話を聞いた時にもそう感じたのです。生命賭けの地にて生命の危険を感じる中で冗談が言えるという状態は、どの様な状態なのかと自分には想像が出来なかったのでした。が、様々な場面を思い起こす時に、知った今になれば合点が行く所もあるのですが、全く想像も出来ない事でした。受け容れられ、表現され、解放される事を経験出来る人生は、今まで生きた人が出来なかった事です。世界中の人々にご経験頂きたいと心の底から願いました。自分ではとても癒される事のない悲しみを抱え、苦しみ生きる人生はあまりに悲しいです。いだきしん先生に出会い、コンサートを経験し、悲しみが癒され、愛を経験出来ます事を心から望みます。私の行なう事は愛を経験するコンサートを開催する事です。続く…。