フランクフルトからサンクトペテルブルグ行きの飛行機に乗り込みました。サンクトペテルブルグの空港に着いた時、やっと来れたと何とも表現し難い感動と喜びで一杯でした。空港からホテルに車で向かいました。サンクトペテルブルグは深夜でしたので暗闇の中を車が走っていくのです。暗闇の中であっても私はこの道を知っていると感じる魂の存在を感じ、自分でも驚きました。ここを曲がっていくと、先に道順が分かるのでした。車は自分が見えた通りに道を曲がり走り続け、ホテルに到着しました。中世のヨーロッパ調の豪華な造りのとても素敵なホテルです。部屋に入ると、ロシアの春の絵画が飾られていました。長い冬が終わり、春が訪れ、広大なロシアの大地に一斉に咲く花々が描かれています。見ているだけでロシアの早春の風を感じ、魂が躍動します。子供の頃見たロシア映画で心に残っているのは、広大な大地に春が訪れ、一斉に花が咲く光景です。その光景を見ては涙を流し、胸の奥は震えていたのでした。早春に吹く風までも感じるのでした。部屋に飾られている絵画からも風までも感じ、見ているだけで嬉しく、涙滲むのです。素敵なインテリアの部屋で私はとても嬉しく、心が休まりました。やっとロシアに来れた事、本当に嬉しく感じ、夜は緊張とときめきでドキドキしながらも休めたのです。朝を迎え、朝食の会場はとても素敵なカフェテラスでした。ロシアンティーの大きなポットが真ん中に置いてあり、クラシカルな豪華な彫刻が施された椅子やテーブルはとても大好きなものでした。座っているだけで豊かな気持ちになります。そして、身支度を整え、ドストエフスキー博物館の館長さんに会いに外に出ました。3月の末でしたが、大雪となっていました。
雪の為に中々車がスムーズに走らずに、少し時間がかかりながら、アポイントメントの時間には間に合い、無事に着く事が出来ました。館長さんのいらっしゃるお部屋に通され、木のぬくもりあふれるテーブルや書棚に心惹かれました。ロシアの家具はとても木のぬくもりを感じます。随分前にスペインからロシア経由で日本に帰った時、トランジットで空港の特別室に案内された事があります。そこでは、木のぬくもりあふれるテーブルと椅子が置いてありました。とても豊かな時を過ごしたのです。その時の事を思い出す館長さんのお部屋でした。女性の方でした。とても小柄な女性で日本的な感じでありましたので、感覚的には日本人の方にお会いした様な感覚でした。コンサートのお話をさせて頂きました。主旨はご賛同頂きましたが、館長さんはコンサートをやれる方法も知らず、何も出来ないという事をお話下さいました。私は、遥々サンクトペテルブルグまで来れた事はとても嬉しい事でしたが、目的であるコンサート開催にあたり、空振りとなってしまった事はとても残念に感じて、このまま帰る訳にはいかない気持ちでした。館長さんに何方か、コンサートを開催出来る方をご存知ありませんかと尋ねました。館長さんは、ある方をご紹介下さいました。ご紹介下さった所に連絡をし、サンクトペテルブルグ滞在中にお会いする為にどんどん動いていかなければいけない気持ちとなりました。