五女山の麓に着き、その夜は韓国から一緒に来てくれた李さんが出会った、この地に住む朝鮮人の方々にお会い致しました。朝鮮料理のお店に連れて行って頂きました。五女山でのコンサートを開催したい気持ちをお伝えし、ご協力下さる意志を示して下さいました。こんな展開になるとは、人生は本当に分からないものだと驚くこの度の導きでした。ご協力頂けるならば、本当にありがたいと心から嬉しく感じ、実現に向かっていけます事が大いなる喜びでした。良い話し合いが出来、次のステップへ向かう事になりました。話が順調に進みましたので、翌日は「五女山に登ろう」と韓国の李さんがおっしゃいました。「五女山に行けるのですか」と私は驚きながらも胸の内は喜びで一杯でした。「行きましょう」と言って下さったので「喜んで」と信じられない気持ちで、五女山に登る日を迎えたのです。

韓国の李さんと
この度の旅は、コンサートに向けての打合せの旅と聞いていましたので、仕事用に大好きなブランド、ジャンフランコ・フェレのスーツを着てきたのです。そして、ブーツを履いていたのです。この格好で五女山へは、とても登る事は出来ません。服は、室内着であっても室内着ではない様な服を持ってきていたので、それを着て行く事にしました。靴は、靴屋さんに連れていって頂き、購入しました。そして、いよいよ五女山へと向かいました。8年前に来た時とは、まるで町並みも変わっていましたけれど、五女山の入り口も変わっていました。五女山は、2004年に世界遺産に登録されたのです。駐車場も整備されていました。駐車場で別の車に乗り換えます。中国政府が用意している車です。そして車を降り、999段の階段を上るのです。私は、この階段を上れるのか、と途方に暮れてしまい、入り口に人力車があったので、乗ろうとしました。すると、いだきしん先生が「先祖の土地は自分の足で歩きなさい」とおっしゃったので、私は恥ずかしくなり、苦笑いするよりなかったのです。そして、自分の足で歩き始めました。石段を一段一段上っていくと、風が吹くのです。ふっと疲れて息をつくと、心地良い風が吹いて力が漲ってくるのです。生命は喜び、躍動し、999段の階段は何の苦も無く、楽しく上りきる事が出来ました。風が吹くと、魂が喜び迎えてくれている事を生命で感じたのです。こんなに沢山の魂が喜び、迎えてくれ、一緒に上ってくれているのです。これ程力強い事はありません。魂と共に、五女山の石段を上る事は、喜びよりありませんでした。

龍の爪を眺め
999段の階段を上りきると、西門に到着します。砦を通り抜け、五女山城の山道が続きます。森の中を歩いていくのです。吹く風は、心地良く、爽やかで、歩いているだけで清々しい内面と無限な世界に通ずる広い空間にいる事がただ嬉しく、幸せでした。そして、風は魂の声を伝えてくれます。魂は「この時をずっと待っていた」と喜び、光り輝いています。後日、共に五女山を歩いた韓国の李さんが、韓国に帰った後、私に詩を送って下さいました。「恵子さんが歩く時、高句麗魂は喜び迎え入れ、風となっていた」という内容のとても素敵な詩でした。李さんは、五女山城に吹く風は、魂の風と感じられていたのだと分かりました。やはり、同じに感じていらした事がとても嬉しく感じました。そして「高句麗のお姫様が五女山に帰って来た事を、魂は総動員で喜び迎えていた」と詩に書いて下さっていたのです。正しく私も同じ様に感じたのです。再会を喜び、涙し、時に笑い合い、それはそれは楽しい五女山城でのひと時でした。

1998年に初めて行った時に手を当てた城壁にて