世界伝説 第88弾

フランクフルトからサンクトペテルブルグ行きの飛行機に乗り込みました。サンクトペテルブルグの空港に着いた時、やっと来れたと何とも表現し難い感動と喜びで一杯でした。空港からホテルに車で向かいました。サンクトペテルブルグは深夜でしたので暗闇の中を車が走っていくのです。暗闇の中であっても私はこの道を知っていると感じる魂の存在を感じ、自分でも驚きました。ここを曲がっていくと、先に道順が分かるのでした。車は自分が見えた通りに道を曲がり走り続け、ホテルに到着しました。中世のヨーロッパ調の豪華な造りのとても素敵なホテルです。部屋に入ると、ロシアの春の絵画が飾られていました。長い冬が終わり、春が訪れ、広大なロシアの大地に一斉に咲く花々が描かれています。見ているだけでロシアの早春の風を感じ、魂が躍動します。子供の頃見たロシア映画で心に残っているのは、広大な大地に春が訪れ、一斉に花が咲く光景です。その光景を見ては涙を流し、胸の奥は震えていたのでした。早春に吹く風までも感じるのでした。部屋に飾られている絵画からも風までも感じ、見ているだけで嬉しく、涙滲むのです。素敵なインテリアの部屋で私はとても嬉しく、心が休まりました。やっとロシアに来れた事、本当に嬉しく感じ、夜は緊張とときめきでドキドキしながらも休めたのです。朝を迎え、朝食の会場はとても素敵なカフェテラスでした。ロシアンティーの大きなポットが真ん中に置いてあり、クラシカルな豪華な彫刻が施された椅子やテーブルはとても大好きなものでした。座っているだけで豊かな気持ちになります。そして、身支度を整え、ドストエフスキー博物館の館長さんに会いに外に出ました。3月の末でしたが、大雪となっていました。

雪の為に中々車がスムーズに走らずに、少し時間がかかりながら、アポイントメントの時間には間に合い、無事に着く事が出来ました。館長さんのいらっしゃるお部屋に通され、木のぬくもりあふれるテーブルや書棚に心惹かれました。ロシアの家具はとても木のぬくもりを感じます。随分前にスペインからロシア経由で日本に帰った時、トランジットで空港の特別室に案内された事があります。そこでは、木のぬくもりあふれるテーブルと椅子が置いてありました。とても豊かな時を過ごしたのです。その時の事を思い出す館長さんのお部屋でした。女性の方でした。とても小柄な女性で日本的な感じでありましたので、感覚的には日本人の方にお会いした様な感覚でした。コンサートのお話をさせて頂きました。主旨はご賛同頂きましたが、館長さんはコンサートをやれる方法も知らず、何も出来ないという事をお話下さいました。私は、遥々サンクトペテルブルグまで来れた事はとても嬉しい事でしたが、目的であるコンサート開催にあたり、空振りとなってしまった事はとても残念に感じて、このまま帰る訳にはいかない気持ちでした。館長さんに何方か、コンサートを開催出来る方をご存知ありませんかと尋ねました。館長さんは、ある方をご紹介下さいました。ご紹介下さった所に連絡をし、サンクトペテルブルグ滞在中にお会いする為にどんどん動いていかなければいけない気持ちとなりました。

アポイントメントの後は、ドストエフスキー博物館を見学させて頂きました。ドストエフスキーが持っていたトランク、筆やペン、机や椅子、お部屋を見ていると文学の香りがし、とても心が豊かになります。私は、この様な空間にいると引き寄せられ、とても豊かな気持ちになるのです。そして、色々な事が浮かび、創造的になっていけるのです。ロシアの文学の香りを体一杯に感じ、とても楽しく、豊かなひと時を過ごす事が出来ました。日本に帰ったら、文学の香りがする部屋を作ろうという気持ちになり、自分の家の家具を買い替えようという気持ちになりました。そして、文学の香りがする部屋で世界に伝えたい自分の人生を書き記していきたいと考えたのでした。考えるだけで気持ちがわくわくして参りました。

雪の中をホテルへと帰り、次のアポイントメントの為の連絡をし始めました。ある音楽関係の方にお会いした様に覚えておりますが、その方からは話は進まないと感じ、お会いさせて頂きましたが、結果には至らないという状態でした。次にまたお会いする方とのアポイントメントが取れました。その方はホテルまでお越し下さるという事です。その方に会う為に、待ち合わせ場所のラウンジへ向かって歩いていると、3人の背の高い、美しいロシア美人と廊下ですれ違いました。あまりに美しくて見とれてしまいました。こんな素敵な方々がいらっしゃるのだと感じ、心がうきうきしてきました。そして、待ち合わせ場所に行って現れた方々は何と、先程廊下ですれ違ったロシア美人だったのです。こんな素敵な人達と仕事ができると考えると、嬉しい気持ちとなりました。その方々は、とても理解も早く、判断決断が早い方々でした。話はどんどん進んでいきました。そして、ホテルの前がコンサートホールでありましたので、そのコンサートホールの下見に連れて行って下さったのです。彼女達は、このコンサートホールでコンサートをしたらいいという提案だったのです。とても素晴らしい方々にお会い出来、私は嬉しくて胸が一杯でした。彼女達に会った後、いだきしん先生はおっしゃいました。すごく仕事が出来る女性達、と感心しておっしゃっておられました。仕事が出来るから貴方に嫉妬しない、とおっしゃったのです。いつも女性が世界平和を実現する為に世界中を歩き、男2人を引連れてという状態は誰もが羨ましいと感じ、大概の人は嫉妬するとおっしゃったのです。私はいつも、いだきしん先生が一緒にいて下さるので、生命も守られている事を感じていました。そういうエネルギーは感じもしませんから、苦しんだり、悩む事もなくやりたい事の実現の為に動けたのでした。嫉妬されていたという事すら気づかないでいたのでした。真にありがたい事と感謝します。人が羨む仕事が出来る事も、またありがたい事と感謝します。人間であれば、世界の平和の為に動いていきたいのが誰にでもある気持ちではないかと私は考えています。気持ちがあってもやれない方が多い中で、気持ちを実現出来る私は、本当に恵まれていると心から感謝の気持ちがあふれます。その恵みを世界の為に活かし、平和の為に貢献しなければいけないとは、常に考える事であります。どの様な流れでこの話が実現しなかったかは今となっては覚えていませんが、最終的には彼女達との話は成立に至らずに、私は次の道を見つけなくてはならない状況となったのです。この度のサンクトペテルブルグの旅は残念ですが、実りがないまま、また再びここへ来る事を決め、パリへと向かったのです。続く…。