マケドニアのスコピエから、ルーマニアの首都ブカレストの空港に到着しました。ここではブルガリアから来て下さる市の担当者と待ち合わせをし、一緒にギュルギュウ市に行く予定でした。夜に着きましたので、すぐにホテルに入りました。ルーマニアでは一番良いホテルと言われていたホテルですが、私にはその様に感じられず、とても苦しく感じました。ブカレストの街は、私には血腥く感じ、黒いものが沢山見え、苦しく感じました。苦しみの元を辿れば、独裁政権により沢山の尊い生命が犠牲になっている事に行き着くのです。
人間の歴史は、本当に悲しい事ばかりが繰り返されます。その地に降り立つと、土地から感じる苦しみ、辛さ、重荷から、どれだけ大変な状態で人々が生きてきたかという事を身に沁み分かるのです。苦しい夜を過ごし、翌日、ギュルギュウ市に向かいました。ブルガリアからの市の担当者の方が中々来なくて心配しました。やっと到着された時、初めてルーマニアに来たという事をお聞きしました。隣の国であっても初めていらっしゃるのだという事が驚いたのでした。一緒にギュルギュウ市まで行き、市の担当者の方とのアポイントメントを共にしました。コンサートは開催する事が決まっていますので、顔合わせと、打ち合わせのアポイントメントでありました。
とても貧しい町である事に驚きました。スタッフが泊まるホテルの下見に行きましたが、とても粗末なホテルでありました。私は、ここには泊まれないという事だけは分かりましたので、どこに泊まるかを考えなくてはいけなくなりました。人々の暮らしが悲しく、とても暗い気持ちになるのでした。ドナウ川の畔でランチをしましたが、小学校の頃「ドナウのさざなみ」という音楽を聞いた時に、その響きがとても素敵に感じ、きっと素敵な所なのだろうと想像していました。そのドナウ川の畔に来ましたが、音楽と私が想像した川辺ではありませんでした。もっと違う場所に行けば、音楽に現わるドナウ川が見れるのかもしれませんが、ギュルギュウの地で見るドナウ川は、とても寂しく、侘しさを感じる川の畔でした。