世界伝説 第56弾

2006年4月は再びレバノンへと旅立ちました。この時シリアの文化大臣にお会いする予定でいました。ベイルートから陸路を国境を超え、ダマスカスへ向かいました。国境では身がすくむ程恐怖を感じました。何が、とはその時はよく分かりませんでしたが、何か起こる不安を感じ身がすくんだのです。が、俳優のネメさんが手続きをして下さり、無事に通り抜ける事ができた時は本当にほっとしました。その後は初めて降り立つシリアの地を感じ、街並みを眺めとても興味深く楽しい道中となりました。シリアの伝統ホテルに到着しました。私はとても心が浮き立ちました。ラウンジはシリアの伝統的なティータイムを過ごす場所なのだと感じ、とても嬉しく感じました。欧米のラウンジとはまるで違い、昔の豊かな香りがしてくるような空間だったのです。早速コーヒーを頂きました。ウェイターの方のユニフォームもアラビアンナイトに出てくるような昔のアラブの民族衣装でした。金のトレイに金のポットにコーヒーや紅茶が入っています。そして盃の様な金の器で頂くのです。とても素敵な香りがしました。私はこのラウンジで全身全霊で、ガジ教授とネメさんにいだき講座をお伝えしました。

レバノンでの「高句麗伝説」が大成功となり、この後中東できちんと活動できれば平和を創っていける光が見え、私はとても希望を感じて何度もレバノンに足を運んだのです。一緒に活動して下さるガジ教授やネメさんがいだき講座を受講下されば、これ程ありがたく、物事実現でき、嬉しい事はないと考えたのです。運命は全ての限界を作っています。運命は体の重しになっていますので、体力の限界も作り、何より運の限界を作っていますので、その方の持っている運命がどうであるかによって物事成っていくのか途中で途絶えてしまうのか決まるのです。一緒に物事成す人が運命の限界を突破していなければ、とても世界の平和を実現という誰もできなかった事を成し遂げる事は不可能という事は甚く分かっています。私はガジ教授のお体も心配し、講座をお勧めしたのです。自分では全身全霊でお伝えしました。結果は、ガジ教授はお子様が小さく面倒見なければいけないのでレバノンを離れる事ができないとおっしゃり、日本で講座を受ける事は難しいとのお答えでした。私は目の前が真っ暗になり、とてもがっかりしました。俳優のネメさんは受けるとおっしゃいました。それは私が、一人が講座を受ける事で取り巻く環境が変わるので、レバノン全体、ひいては中東全体まで変わっていく始まりとなるという事を力の限り話したのです。その事を受け、ネメさんは決断下さったのです。とても嬉しく感じました。シリアの伝統ホテルのラウンジにて、全身全霊でレバノン人にいだき講座を伝え勧めたこの経験は、忘れる事はできません。

いよいよ文化大臣に会う時間となりました。文化省に着き、セキュリティチェックを受け、とても厳かな空気の中、部屋に通され椅子に座り、待ちました。私は最初ここで文化大臣にお会いするのだと思い、とても緊張しお待ちしていました。扉が開き、男性が入って来た時、すぐに立ち上がり、頭を下げました。男性は笑って、私ではないという仕草をしました。その方は再び次の部屋に通して下さいました。そこでチャイを出して頂き、文化大臣をお待ちしました。ここでも扉が開いた瞬間、私はすぐに立ち上がり、頭を下げました。その時もまた入って来た男性は笑って、自分ではないという仕草をしました。二度緊張の瞬間があり、二度拍子抜けしました。そして三度目、再びまた違う部屋に案内されました。空気も変わっていましたので、ここが文化大臣にお会いする部屋とは体で分かりました。いよいよ文化大臣がお越しになりました。とても緊張した瞬間でした。厳格な御方でありました。ガジ教授が私の事を紹介して下さいました。そして最後にMadam Komaと促し、私が今度話をする時が来ました。私はとても緊張していて胸がドキドキしていましたが、まずはお土産を渡そうとし席を立ち、日本から作って持ってきました心模様のループタイを差し出し、いつもの様に内面が豊かで美しい時幸運を招き、豊かな人生が拓かれますと申し上げ、文化大臣の首にループタイを掛けてしまったのです。文化大臣はにっこりと微笑み、とても喜んで下さいました。この瞬間緊張が解け、心通い合い、とても打ち解ける事ができました。それからの話は大変本質的なお話となり、いだきしん先生の事も深くご理解下さいました。とても知性あふれ、思慮深い御方でありました。私は大変感動し、心満ち足りたのです。次にいだきしん先生がお話をされ、色々なお話の中で文化大臣がシリアで開催する文化の催しの事をご紹介され、その上でシリアでコンサートをする事をご提案下さったのです。私はとても喜びました。その時いだきしん先生は、「高句麗伝説」100回記念はシリアでさせて戴きます、とおっしゃったのです。いつもであればこれ程嬉しい瞬間はありませんが、その瞬間私はいだきしん先生に「先生、100回記念コンサートは五女山です」と申し上げたのです。既に中国政府文化部より五女山での開催許可を頂いていたのです。私は五女山で「高句麗伝説」100回記念をする事を夢見、実現に向かい何度も中国に行っては打ち合わせをしていたのでした。許可も出たので私は必ず100回記念は五女山と決めていました。いだきしん先生はシリアがいいとおっしゃいました。ここで私が何を言っても文化大臣の目の前でありますし、後で先生とお話をさせて戴く気持ちで、その時は黙って引き上げたのです。文化大臣のお部屋を出た瞬間、「先生、100回記念は五女山です」と申し上げました。先生はシリアがいいと、あれ程の文化大臣がいる国の方がきっと世界は良くなるという内容のお話をされたのです。私はそのお言葉を心に受け、これからどの様にし心を整理しようかと考え始めました。心の中は整理つかずに混乱していました。頭も混乱しています。が、いだきしん先生がおっしゃる事は、未来を見、おっしゃる事である事は今までの経験からもよく分かっていますので、ここはそのまま受け止め、自分の中で考えようとしたのでした。シリアで過ごすひと時は楽しく、美しい香りにあふれていました。街を歩くだけで創造的になれるのです。とても楽しいダマスカスの街でした。ダマスカスからレバノンへ戻る時、国境検問所に来ました。行きも恐怖を感じましたが、この時は全身が恐怖に震えました。体が硬直しました。無事国境を通り過ぎてすぐに、自爆テロがあった事を知りました。1分違えば生命落とす地である事を身をもって経験しました。続く…。